メルトダウン、メルトスルーとは?(アーニー・ガンダーセン博士)

「私が大学で原子力を勉強していた頃、溶けた核燃料が圧力容器から漏れるメルトスルーという言葉を耳にすることはありませんでした。」

原発の専門家であるアーニー・ガンダーセン博士は、著書『福島第一原発 真相と展望』(集英社)の中で、メルトスルーという新語について、こう述べています。(p.11)

メルトスルー(溶融貫通)とは、ガンダーセン博士がいうように、核燃料が圧力容器の外に漏れることを表します。一方、メルトダウン炉心溶融原発の核燃料が解け落ちることです。核燃料は圧力容器と呼ばれる物の中に入っています。さらに、その外には格納容器があります。格納容器は最後の砦。この容器が壊れると、核燃料は原発の外に出て行ってしまいます。

今回の福島第一原発原発事故では、メルトダウンが起こり、さらに、圧力容器が壊れ、メルトスルーしました。それだけにとどまらず、格納容器も壊れている可能性が高くなっています。
ガンダーセン博士は、『福島第一原発 真相と展望』の中で、福島原発メルトダウンメルトスルーの状況について、次のように述べています。

福島第一原発の1号機では90%、2号機、3号機では70%のメルトダウン(炉心溶解)が起きていると思われる。(p.44)
・2号機の格納容器の破損は、もっとも深刻。(p.55)
・格納容器が破損している1、2号機からは、何年にもわたり、大気と地下水に放射能汚染が広がり続ける。(p.56)
・1〜3号機は、圧力容器の内壁に沿って核燃料が一部残っている可能性がある。再臨界を起こさないためには、水で満たす際には細心の注意が必要である。(p.59)
・3号機は、格納容器に漏れがあり、水蒸気が漏れ続けている。何年にもわたって放射性物質の放出が続くだろう。3号機はメルトダウンし、メルトスルーしている。(p.59)

ガンダーセン博士によれば、「メルトスルーは、起こるはずのないこと」とされてきました。それが福島原発で起こりました。収束のためには、これまで人類が体験したことのない困難を、いくつも超えていかなくてはなりません。


【関連記事】

ゼロからわかるメルトアウト(福島第一原子力発電所)
小出裕章:「福島第一原発は、おそらくメルトアウト済」(2号機)
福島原発4号機もメルトダウン済。1年以内に危機的状況に?(ぬまゆのブログ)

・[http://d.hatena.ne.jp/rakkochan+jikopr/20120413/p1:title=小出裕章:「4号機 燃料プール冷却停止なら、メルトダウンも」(たねまきジャーナル)]